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フォークリフトにおける危険予知トレーニング(KYT)の重要性とは? 4つのステップによる進め方を解説します
フォークリフトは適切に扱えば多くの現場で非常に役立つ機械ですが、誤った操作が事故の原因となることもある危険な機械です。とても大きなパワーを有しているため、その取り扱いには注意が欠かせません
安全な運用を共有するためには、危険予知トレーニング(KYT)の実施が必要です。このトレーニングを通じて、潜在的な危険を視覚化し、対処方法を学び、従業員間で共有することができます。この記事ではフォークリフトの安全な使用に向けて、危険予知トレーニング(KYT)の進め方について解説します。
■危険予知トレーニング(KYT)とは?
危険予知トレーニング(KYT)は、倉庫業や製造業などの仕事に携わる作業員達が、仕事中の事故や災害を未然に防ぐために、危険を予想してお互いに指摘しあう訓練です。作業員が潜在的な危険を特定し、情報を共有することで事故を防止することを目的としています。
作業員の危険意識を高め、安全意識を促進し、チームワークを向上させることができるため、最新機器やシステムの登場が予想される将来においても重要度の高い普遍的なトレーニングだと予想されます。
KYTの重要性
事故は「不安全な状況」と「不安全な行動」が同時に発生することによって引き起こされます。特に、人間による不安全な行動の削減は、KYTの主要な目標です。
KYTは、危険に対する感受性を高め、集中力を向上させるなど、うっかりミスや不注意を予防する効果があります。また、KYTは訓練によって実施できるため、手軽かつ負担が少なく導入できるのです。
■フォークリフトにおける事故事例
危険予知トレーニング(KYT)の進め方を解説する前に、フォークリフトにおける代表的な事故の事例についていくつかご紹介します。
転落事故
フォークリフトの作業中に転落する事故はいくつかのケースが考えられ、例えば、通常は立ち入らないエリアに進入し、柵に乗り上げて高所から転落する事故が挙げられます。
また、フォークリフトのフォークに人を乗せて作業を試み、作業者がバランスを崩して転落するケースも多いです。これらの事故は、通常の安全規則を無視した行動が原因で発生しやすいものであり、不注意が事故を招く危険性を表しています。
挟まれ事故
フォークリフトによる作業では、作業者が周囲の安全確認を怠ったり、危険な漫然運転に陥ったりするケースがあります。例えば、作業者が目の前の荷物に集中しすぎて、周囲にいる作業員を見落としてしまうケースが頻繁に報告されています。また、珍しいケースとして、フォークリフトのマストとヘッドガードの間に他の作業員が挟まれる事故が発生した例もあります。
フォークリフトによる死亡事故の多くは、安全確認が不足していたためにフォークリフトに挟まれたり、巻き込まれたりするケースが最も多いです。安全確認を怠らず、常に注意を払うことが不可欠です。
転倒事故
フォークリフトによる転倒事故の主な要因は、高速での運転と最大積載量の超過です。運転手が作業を早く終わらせようとして、場内速度を速くしすぎると、カーブを曲がる際に転倒する危険性が高まります。
さらに、作業を急ぎすぎて、許容積載量を超えた荷物を運ぶことも危険です。フォークリフトには付属しているアタッチメントなどによってノーマルの荷重能力から減トンされている場合もあります。傾斜のある通路では、フォークリフトの車体が傾いて転倒する可能性があるため、過度の積荷は避けるようにしましょう。また、高い積荷は前方の視界を妨げ、周囲の安全確保が難しくなります。安全運転のために、適切な速度と積載量を守ることが重要です。
衝突事故
衝突事故の例として、他の作業員がフォークリフトの通行経路に入り、轢かれるケースや、フォークリフトが支えていた荷物が落下して作業員に被害を及ぼすケースが挙げられます。また、整備不良のフォークリフトが事故の主要な原因として考えられます。
安全確保のために、作業員とフォークリフト運転手の協力と整備の重要性を確認するようにしましょう。
■危険予知トレーニング(KYT)の進め方
実際に危険予知トレーニング(KYT)を進める際によく取り入れられている4つのステップについて解説します。この4ステップを取り入れた進め方は、KYT4ラウンド法と呼ばれており、厚生労働省推奨の手順です。
現状把握
フォークリフト作業において、どのような危険が存在するかを把握します。作業の写真やイラストを通じて、どのようなリスクがあるかについて議論し、意見を共有しましょう。
また、実際に作業を進めながらリスクを確認する方法も有効です。これらのアクションを通じて、作業中の危険要因と可能性のある事故について、職場内で共有を進めます。
要因分析
ステップ1のディスカッションに基づいて、重要だと考えられる項目には「〇」をつけます。その中から、最も重要な危険ポイントには「◎」と「アンダーライン」を引きます。
危険ポイントを確認するために、チーム全体で指差し、呼称とチェックを行います。 具体的には、リーダーが危険ポイントを説明し、それに対してチーム全員が応じる形で確認を進めましょう。 例えば、「この危険ポイントは、~ですので、~する際には特に気をつけましょう!」というようなやり取りです。
対策立案
重要な危険要素を特定したら、次はそれに対処するための対策を立案する段階です。チーム全体でディスカッションしながら対策を練る方法や、各メンバーが個別に対策を考案し、後で発表する方法などが考えられます。対策を具体的かつ実用的にすることが肝要です。
ここで策定した対策をベースに、最終段階で行動計画を策定するために真剣に検討する必要があります。優れたアイデアであっても、実現が難しい場合は避けるべきです。たとえば、高額な費用がかかる、多くの人員が必要となるなど、実現性が低いと判断されるアイデアは選択肢から外し、具体的でかつ実現可能な対策案を選りすぐりましょう。
目標設定
提案された対策案の中から、特に重要な実施項目を特定し「チーム行動目標」として具体化します。重要な事項には「アンダーライン」や「※」を付けて、全体の行動目標に落とし込みましょう。
ただし、実際の作業において新しい設備の導入や作業手法の大幅な変更が難しい場合もあるかもしれません。そのため、まずは与えられた条件内で実現可能な対策を優先的に検討し、取り入れてみることが大切です。
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■さいごに
危険予知トレーニング(KYT)はKYT4ラウンド法を活用した方法が推奨されています。写真やイラストを通じて潜在的な危険を考え、それに対する対策を練りましょう。また、KYTは継続的に実施することが重要です。定期的に繰り返し実施することで、従業員の安全意識を向上させ、事故の軽減に寄与します。
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